2024.1/21
タイトルは好きな曲名から借りていくスタイルに。
こっちのブログはこれがスタートだけど、なんかふと続きを始まりにしたくなった。
タイトルの曲名はHakubiの『夢の続き』から。
わたしの夢はちゃんとひとつずつ、諦めて生きてきてしまったから、いろんな諦めた夢の続きが現在。
映画『笑いのカイブツ』を観てきた。
ツチヤタカユキの私小説を、岡山天音さん主演で映画化。2017年に単行本が出版されていたらしい。気づいていなかった。
わたしの思春期を支えたコンテンツのひとつ、ラジオ。たまに文章を褒めてもらうことがあるけど、きっとそれは頻繁に聞いていた深夜ラジオのおかげだと思ってる。
そこで頻繁に名前を聞いたハガキ職人。いまはもうハガキで出してる職人はいないのかもしれないけど、令和の今、平成のあの時期のラジオのネタ職人なのだからギリギリかもしれないけど、あえてここではハガキ職人とする。
まだ学生リスナーが多かったのか、スポンサーが某辞書をも出版している会社だったそのラジオ番組。狂ったようにネタメールを分刻みで深夜に送りつけていたというのが、『笑いのカイブツ』原作者ツチヤタカユキ。
毎週辞書が届く彼は家が大変なことになりそうなんて、わたしは呑気なことを思いながらラジオを聴いていたのを今も思い出せる。彼はそれだけ印象的な職人だった。
少なくともわたしはツチヤの純粋な狂気に気づいていなかった。楽しんでやってると思っていたし、まさか取り憑かれていた、いやタイトルを借りれば「笑いのカイブツ」の一種へ呑み込まれてそのものになっていたなんて、そんな。
観ていてなにかつらかった。でも目が離せなかった。彼の軌跡の一部はずっと結果だけ知っていたから。
何者かになることに焦がれる以上、それしかできず、それしか考えられず、それのために生きて、それのために摩耗する。
あまりに凄絶で、純粋で、綺麗なのに憧れはしない。苦しみからはどこへ行っても逃れられない。
苦しめてくるものが、何より欲しいそれな気がして。正義の顔をして近づいてくる、別の何か。業界の是、個人の是、受け手の是、作り手の是。
生々しく、おどろおどろしい。如何にもカイブツで。
愛したものに愛されたって幸せとは限らなくて、枯渇したそれは潤わないことだって多々あって。
一度死んだ彼は無敵になれたのだろうか。
掴みかけた理想の影を自分から突き放す勇気。
心から好きなものを、好きという言葉を使わず最大値に表現できる彼がすこし羨ましくなった。